前回取り上げた自民党総裁選は、9月12日に告示され、過去最多の9人が立候補した。27日には新総裁が決まる。女性2人、若手も立候補していて、にぎやかな総裁選になっている。だが、忘れてならないのは、現在真っ最中の立憲民主党代表戦である。
こちらは、9月7日に告示され、討論会など選挙戦を繰り広げている。泉健太現代表(50)と枝野幸男前代表(60)、野田佳彦元首相(67)、そして唯一の女性候補で1回生の吉田晴美衆院議員(52)の4人が立候補していて、23日の党大会で代表が決まる。
代表戦が注目されるのは、政権交代になれば立憲民主党の代表が首相になる可能性があるからだ。政治資金パーティー裏金事件で支持率が低下している自民党は、総裁選で「新味のある首相」を選び、その旗印で総選挙に望もうという戦略である。今のところ、国民的人気のある小泉進次郎氏になるのでは、という予想だ。
日本の政治体制は、選ばれた国会議員が首相を選んで行政を担う「議院内閣制」である。米国のような大統領制ではなくて、英国に習った体制である。そして、選挙制度は小選挙区比例代表制で、2大政党による政権交代をにらんだ制度だ。政権与党が失政すれば野党が政権を担い、政策を見直すことで少しでも政治がよくなれば、という狙いである。英国では、保守党と労働党の2大政党による政権交代が頻繁に行われている。
日本でも、15年前に政権交代があったのはご存じだろう。今でも鮮明に思い出す。景気低迷などで国民の信頼を失った自民党が総選挙で大敗し、民主党(当時)政権が誕生した。しかし、民主党政権は「自民党とは違う政治をしよう」という思いが強すぎたのか迷走の連続。3年余りの混乱のうちに、再び自民党政権に戻った。民主党政権には国民の期待が大きかっただけに、失望も大きかった。民主党はその後、立憲民主党や国民民主党、社会民主党などに分裂し、自民の長期政権が続いている。
自民党の新総裁が選ばれたら、10月にも総選挙が行われる可能性が高い。裏金事件で国民の信頼を失った政権に対し、野党側にとっては又とない政権交代のチャンスが巡ってきたといえる。ただ、国民の多くが現在の野党に対して、必ずしも信頼をおいていないというのが現状だろう。確かに、私自身、立憲民主党を中心にした野党が政権を握ってもうまくいくかどうか、不安に思っている。
それでも、もう一回、政権交代のチャンスを与えてみてはどうだろう。前回の失敗を反省して、少しでも国民に寄り添った政治をしてほしい、と願う国民は結構いるのではないか。このまま、自民党が政権を維持したままでは、裏金事件などは結局うやむやになってしまい、国民はなめられたままになる。自民党支持者も「お灸をすえる」という気持ちになってみてはどうだろうか。
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